Prima Stella

こころが動いたことばを集めたり 大好きな本や音楽、香りについて 気ままに記事を書きます。

おすすめ紹介① 凍りのくじら

ことはです

 

先週、今月読んだ本を紹介予定にしていましたが

よく考えたら毎月1回目が前月の振り返り回と設定していたので

第4回目の今夜は、私の大好きな作品の中から1冊ご紹介したいと思います

(今月読んだ本の紹介は次回5/2までもう少しお待ちください!)

 

今回ご紹介するおすすめ作品

『凍りのくじら』 辻村 深月 講談社文庫

凍りのくじら (講談社文庫)

この作品との出会いは、高校生の時、学校図書館でのことでした

(この時学校図書館の蔵書は講談社ノベルスだったような気がします)

時々図書館で見かけて気になっていた同性の控えめな先輩がこの本を返却に来られて、どんな作品か気になったのがきっかけでした

その当時は、恥ずかしながら辻村深月先生の作品を読んだこともなく、表紙が綺麗な本の人、というイメージでした

 

プロローグがすこし不穏で暗い印象があって、読み直そうともくじに目を通し、「あれ…これって」とあることに気づきました

そう、各章タイトルが『ドラえもん』に出てくる道具の名前だったのです

(当時の私が知っていたのは比較的有名な道具が多かったと思う程度でしたが、各章タイトルページに道具について簡単な説明がついていたので、おそらく『ドラえもん』は子どもの頃以来だな、という方でも十分楽しめると思います!)

 

それからはすごく身近に感じられ、どう関係していくのかとても気になって物語を追いかけられたことを覚えています

また、第一章の冒頭で藤子・F・不二雄先生が遺した言葉として「SF」=すこしふしぎというくだりが出てくるのですが、この言葉もこの作品においてとても大事なキーとなります

 

私が読んでみた感想としては、藤子・F・不二雄先生に影響を受けている主人公の芹沢理帆子が、学校内外で出会う人たちとの人間関係・交流の中で変わっていく、前へ進んでいくというお話しだと受け止めています

内省的な感じで読む人によっては重苦しさを感じるかもしれませんが、私にはそれさえも10代の青春の苦さのようにも感じられ、共感もあり、涙が出ちゃったりもしました

 

最初から最後まで読み終わって感じたことを大きくまとめると下記の3点です

1 辻村深月先生は『ドラえもん』が、そして、藤子・F・不二雄先生のことをとても愛してらっしゃるということ

2 この作品は心理的にとても重たく感じられるけれど、最後にはとてもすっきりとした晴れやかな気持ちになれるということ

3 辻村先生の作品だけでなく『ドラえもん』のことももっと知りたくなるということ

 

ネタバレしないようにまとめると、こんな感じです

今でこそ、辻村深月先生といえば、直木賞作家としても有名で様々な作品が注目されているので、他の作品は読んだことあるけど初期作品はどこから読もうかとお悩みでしたら、こちらなどいかかでしょうか

 

ちなみに、私はこの作品の読了後、『ドラえもん』にハマってしまい、毎年春になると映画館で『ドラえもん』をできる限り観るようにしています

特に、月面探査記は辻村深月先生が原作となっているので、興味のある方はどうぞ!

 

今夜はこのくらいで

では、また来週火曜日にお会いしましょう